【イラスト付き】世界のドラゴン一覧

ドラゴンの種類

神話で描かれている竜には様々な形態があり、同じ呼び方をされていても違う外見があったり、逆に種類の違う竜であっても同じ呼び方をされていたりなど、地域や時代によって違いがあります。

その中でも、外見的な特徴からおおよそ以下の種類に分類することができます。

ドラゴン(ドレイク)

ドレーク(Drake)というのは、いわゆる「四肢があり翼がある」種類の竜のことを指します。語源はオランダ語のドラゴンから来ており、江戸時代には「だらあか」として日本にも伝わっている。西洋ではこの形態で描かれる竜が多い。

ワイバーン

ワイバーン(wyvern, wivern)とは、細身の体に二肢(両足)とコウモリのような形の大きな翼、鋭い目が特徴の竜です。イギリスの紋章や旗章としてよく用いられており、戦争や嫉妬、疾病を象徴するとされています。

ワイアーム

ワイアームというのは、四肢がなく翼のある竜のことを指します。古英文叙情詩『ベーオウルフ』や古くからのイングランド民話に登場していて、竜の形態の源流であるともされており、歴史のある形態です。

サーペント(ワーム)

サーペント(Serpent)は四肢と翼がなく、いわゆるヘビのような形態の竜を指します。主に海にまつわる伝承に登場する竜がこの形態で描かれます。大航海時代には海図にこのサーペント型の竜がよく描かれていました。

一方で北欧神話のヨルムンガルド、ギリシャ神話のピュートーン、エジプト神話のアポピスなど「悪竜」として描かれる際にこの形態となっているものが多いです。

主に東洋で、水や気象にまつわる神として描かれることが多い竜の形態が「龍」です。翼を持たず、四肢も無いか非常に小さく描かれており、体は非常に長い。顔には大きな角や髭が描かれており、体には鱗があるのが特徴です。

その他

これ以上の分類としては以下の要素が挙げられる

首の数

翼の数

脚の数

翼の形

外皮

半身

ヨーロッパの竜

アイアタル

フィンランドの民間伝承における邪悪な女性の精霊・森の悪魔とされているが、人々の前に現れる際には竜の姿となって現れると言われている。蛇に授乳し、人間を病気にするとされる。フィンランド内でも地域によってはアヤタル (Ajatar)

起源・出典世界の妖精・妖怪事典(ローズ・キャロル)
地域フィンランド
備考・エストニアで「アイ」「アイヤタル」と呼ばれるよくにた精霊の伝承がある。森に住み人を襲うと言われている。

エレンスゲ

ピレネー山脈の両麓に位置してビスケー湾に面し、フランスとスペインの両国にまたがっているバスク地方の伝承に登場する竜。「7つの頭を持つエレンスゲ」の竜退治が最も有名な説話である。凶暴な性格である一方、卵を額で割ると簡単に死んでしまうというスペインおよびバスク独特の竜退治説話も残されている。

起源・出典アウニャメンディ百科事典
地域バスク地方(フランス・スペイン)
備考バスク自治州にある自治体アラサーテの別名は「モンドラゴン」であるが、モンドラゴンは「ドラゴンの山」という意味である。このドラゴンとはエレンスゲを指している。

オルフェーシュチ

湖や川、海と関係の深い大蛇の怪物。

起源・出典A Dictionany of Celtic Mythology(オックスフォード大学出版局)
地域ゲール語圏(アイルランド・スコットランド)
備考アイルランドやスコットランドなどの伝承に登場する竜は、いわゆる「ワーム」の形のものが多く、翼を生やしたり、空を飛んで火を吹くようなドラゴンらしい竜は少ない。

ガルグイユ

7世紀のフランスの聖人ルーアンのロマヌスを巡る伝説に登場する竜。セーヌ川のほとりに棲んでいて、蛇のような長い首と大きな翼が特徴。火や水を吐き、洪水を起こすと恐れられていた。

西暦600年ごろルーアンという町にやってきたロマヌスという司祭が、ストラ(帯状の祭服)でガルグイユの首を巻き上げて、これを捕えたという。ガルグイユは薪の山にくべられて焼き殺された。ところが、ガルグイユの首から上だけは焼け残ってしまい、その首はルーアンの市壁の上にさらされた。これがガーゴイルの起源であるという

起源・出典黒い聖母と悪魔の謎 – キリスト教異形の図像学(馬杉宗夫)
地域フランス
備考一般的には「ガルグイユ」というのは怪物の形をした水落しの彫刻や噴水の類を指す

ギータ

スペインのカタルーニャ地方の伝承に登場するドラゴン。名前は「脚を蹴り上げているラバ」を現すが、口から火を吹く恐ろしい生き物として語り継がれている。

バルセロナのベルガで行われる「パトゥム」というお祭りではパレードにギータの人形が登場する。このギータが人々を悪魔や魔物から守るとされている

起源・出典世界の怪物・神獣事典(ローズ・キャロル)
地域スペイン
備考ユネスコではパトゥムを儀式・祭礼時分野の傑作を宣言しており、無形文化遺産として登録されている。

クエレブレ

森や地下洞窟に棲む竜。弾丸をも弾き飛ばすような硬い鱗と、大きな羽が特徴。

アストゥリアス地方のメスタス・デ・コンには「クエレブレの洞窟」が実在している。またカラビアにあるフォンドリルの泉では、クエレブレの鳴き声が聞こえることがあるという。

起源・出典世界の龍の話(竹原威滋)
地域スペイン・アストゥリアス地方
備考クエレブレは凶暴な竜として描かれることが多いが、水の妖精の世話をしているクエレブレもいるという。

シャヴォンヌ湖の白い龍

スイスのヴォー州のピヨン峠に実在するシャボンヌ湖に伝わる竜の伝承で、この竜は怪物ではなく湖の主として伝わっている。

雪のように白く、長い翼を持ち、水煙を立てながら水面を歩くといわれており、この竜のおかげで湖の周囲はひっそりと静まり返っていたという。人間にも有効的で、竜に近づいてきた近隣の村の娘たちに近づき、餌をもらったとされている。そしてその御礼に挨拶をして、ゆっくりの水中に姿を消したとされる。

起源・出典世界の龍の話(竹原威滋)
地域スイス
備考シャボンヌ湖の大きさは野球場2〜3個分ほどの大きさである

シュガール

バスク神話における嵐や雷を象徴する男性神であり、大蛇やドラゴンの姿で描かれる。女神のマリと対になる神で、山の山頂でマリと結びついて嵐をおこすとされている。雷竜の姿をした悪魔とされる地方もあるが、現在は主に春の守護神として信仰されている。

起源・出典アウニャメンディ百科事典(ホセ・ミゲル・デ・バランディアラン・アイェルベ)
地域バスク地方(スペイン・フランス)
備考

ズメイ

東欧や中欧の伝承に登場する竜で、主に悪役や主人公の敵として扱われる。姿は3つの首を持っているものが多く、時には胴体が12体以上の姿で描かれることもあり、多くは炎や毒などを吐くとされている。

「ドブルイニャと竜」の叙事詩に登場するズメイは、討伐に来た勇者に命乞いをし、ロシアの民衆をさらわないという約束のもとで赦されました。しかしその後、すぐに城の姫や民衆をさらって、洞窟に閉じ込めていました。命乞いをした勇者に討伐された。

起源・出典ロシア英雄叙事詩 ブィリーナ など
地域ロシア、ウクライナ、ポーランド、セルビア、クロアチア、スロベニア、ブルガリア、マケドニア
備考・ウクライナやポーランドでは「ズミー」、セルビア、クロアチア、スロベニアでは「ズマイ」と呼ばれている。

ズメウ

ズメイと同じく東欧(おもにルーマニア)の伝承に登場する竜、もしくは竜人。ギリシャでも同様の伝承が見られる。ルーマニアに伝わる伝承「勇士アゲラン」では登場する数人の王様が竜人であるとされている。

起源・出典『ルーマニアの民話』
地域ルーマニア
備考ズメウは吸血鬼だとする説話もある

起源・出典
地域
備考

ヴィシャップ

アルメニア伝承に登場する竜。現在のトルコ共和国のアララト山の山頂に住むが、太陽と火と戦いの神ヴァハグンにより討伐された。

起源・出典幻獣ドラゴン(1990年)
地域トルコ共和国
備考ゾロアスター教において世界を滅ぼす怪物のアジ・ダカーハの化身でもある。

ヴイーヴル

フランスのジュラ山脈でよく見られたと言われる竜。上半身は女性だがコウモリの羽を持ち、下半身は蛇で、宝石の瞳を持つと言われている。普段は地底に住んでいて、瞳の宝石を明かりの代わりにしている。性別は雌しかいない。

起源・出典世界の妖精・妖怪事典(ローズ・キャロル)
地域フランス(フランシュ・コンテ地方)
備考水辺で水を飲むときにはダイヤモンドを外し水辺に置いた。もし人間がそのダイヤを盗めたら世界一の権力者になれると伝えられている。しかしダイヤを額に着けていないヴイーヴルを見た者はいないという

ヴァヴェルの竜

ポーランドのヴィスワ川沿岸、ヴァヴェルの丘の麓の「竜の洞窟 」を住み処とした竜。生贄を要求したが、市を創立したクラク王あるいはその王子に、硫黄を混ぜた毒餌を食べさせられ退治されたとされる。

起源・出典ポーランド年代記(1200年頃)
地域ポーランド
備考ポーランドにあるヴァヴェル城の近くを流れるヴィスワ川に「竜の洞窟」が現存しており、洞窟の入口にはヴァヴェルの竜の像があり、火を吹く仕掛けが有名である。

アンフィスバエナ

地理学・天文学などあわゆる知識についてプリニウスがまとめた「博物誌」の中に登場する伝説の蛇。身体の両端に頭のついている双頭の蛇やドラゴンとして描かれる。2つの頭を持つ理由として著者のプリニウスは「毒を吐き出すのに口が1つでは足りないようだ」と述べている。

起源・出典博物誌(大プリニウス)
地域古代ローマ
備考・アンフィスバエナの名称はギリシア語で「両方」を意味する「アンフィス」と「行く」を意味する「バイネイン」に由来し、「両方向に進める」という意味を持つ
・恒温動物であり、他のヘビに比べて寒さに強いと言われている。

アンピプテラ

イングランドのエセックス州へナムで目撃されたとされるドラゴン。大きさは3mほどで舌が2枚あり、1枚は普通の舌だがもう1枚は鏃(やじり)のような鋭い形をしている。

起源・出典世界の妖精・妖怪事典(ローズ・キャロル)
地域イギリス
備考1669年にヘナムの村にアンピプテラが現れた。村人に石や農機具で攻撃されると、すぐに近くの森に逃げ込んだ。ヘナムでは5年後にこれを記念した祭りをし、それが毎年恒例の行事になったという。

アイトワラス

リトアニアにおけるヘビの精霊・神。アイトワラスは場所によって姿を変えると言われており、室内では猫や鶏となり、屋外ではドラゴンや尻尾が燃えているヘビとなる。家庭に幸福をもたらす神とされているが、その方法は隣家から牛乳や穀物・金品を盗むことである。その盗みの対価に求められるものは「オムレツ」。また、一度家に入れてしまうと出すのは困難でもある。

起源・出典世界の妖精・妖怪事典(ローズ・キャロル)
地域リトアニア
備考アイトワラスに関する記録は1547年から認められるといい、その後も不自然な経緯で豊かになった家へのアイトワラスの関与がしばしば記録されているとのこと。

赤い竜と白い竜

5世紀のブリテン島(現在のイギリス)ではローマ軍が撤退し、軍事力の不在となったブリテン島にはサクソン人やアングル人が、現在のドイツから渡来してきた。そこで前ローマ時代からブリテン島に定住していたブリトン人との争いが始まった。2世紀ころからローマ軍は竜の描かかれた軍旗を使用しており、その影響で赤い竜はウェールズ(ブリトン人)の象徴、白い竜はサクソン人の象徴となっていった。

その後12世紀に書かれた「ブリタニア列王史」では、赤い竜と白い竜のエピソードが描かれている。

ブリテンの大君主ヴォーティガンが塔を建てようとしたが、何度塔を建てようとしても基礎が水で沈んでしまう。夢魔を父に持つ少年マーリンによると基礎の下に池があり、水底には空洞になった石が2つあり、そこに2体の竜が眠っていると言う。水を抜いた池にヴォーティガンが佇んでいると2体の竜が現れて戦い始めた。驚いているヴォーティガンに、マーリンは、赤い竜はブリトン人で白い竜はサクソン人だと説明した。さらに、「この争いはコーンウォールの猪(アーサー王)が現れて白い竜を踏みつぶすまで終わらない」と予言した。

起源・出典ブリタニア列王史(ジェフリー・オブ・モンマス)、ブリトン人の歴史(ネンニウス)
地域ウェールズ地方(現在のイギリス南西部)
備考・現在のウェールズでは土地も国民も「我々は赤い竜である」という意識があり、赤い竜は国や民族の象徴となっている。
・ラグビーのウェールズ代表の愛称は「レッドドラゴン」である。
・ウェールズの国旗や、ウェールズの首都カーディフの市旗では赤い竜の姿が描かれている
ウェールズの国旗
カーディフの市旗

アマル

概要・エピソード

インカ神話に伝わる竜。アマルはケチュア語(南アメリカの言語)で「竜」や「ヘビ」という意味の言葉であり、アマロとも言う。

巨大な2つの首をもつ竜で地下世界に住んでおり、鳥のような脚と翼を持っている。アマルは地下世界からこの世へと、この世から地下世界へと世界を渡ることもできると信じられていた。

起源・出典Encyclopedia of Mythic Narratives, Themes, and Concepts
地域現在のチリ、アルゼンチン、コロンビア
備考・インカ帝国最後の皇帝であるトゥパク・アマルの名前はこのアマルからきており、「高貴な竜」又は「輝ける竜」という意味である。
・ボリビアにあるGate of the sunモチーフにもなっている

実は竜やドラゴンではない生き物

漫画やゲームでは竜やドラゴンとして登場することが多いが、実は神話の中ではドラゴンではない生き物に関してもこちらでご紹介していきたいと思います。

バハムート

リヴァイアサン(レヴィアタン)

ティアマト

ケートス

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